施術事例

虫刺されへの対応、どうする?


こんにちは。諏訪の杜鍼灸院です。
最近すっかり暑くなってきましたが、そうすると現れるのが「蚊」。
気が付くと刺されていて、何とも言えない嫌な痒さを引き起こす迷惑な存在です。
また、「蚊」は最も多くの人間の命を奪う生き物としても有名です。
WHOの統計(2019年度)によれば、年間83万人が蚊によってもたらされた感染症で命を落としているとか。
小さな羽虫とはいえ、本当に侮れません。
(ちなみに、2位は「人間」で年間58万人の命を奪っている、というのが何とも言えません。)

さて、蚊に刺されたとき皆さんはどう対処されるでしょうか。
薬を塗ったり、あるいはそのまま放置したり。
今回、本院(諏訪の杜整形外科)の院長が体を張ってどのような対応が良いか検証してくれたので、その一端をお知らせします。

① 鍼(刺絡)による対応

鍼のルーツは、砭石(へんせき)と呼ばれる、鋭く尖った石で、化膿して腫れた部分を切開して膿を出すと治りがよくなった、という経験から始まったと言われています。そこから発展した鍼の方法が「刺絡」と呼ばれるもので、体内に留まる病的な物質を外に出して治癒を促します。
刺絡によってすばやく「蚊の毒」を排出することで、痒みと腫れがが即座に消失したのが確認できます。
※当院での「刺絡」の処置は医師の監督指導の下に鍼灸師が行っています。

② 薬による対応

こちらは、医学の標準治療であるステロイド軟膏(リンデロンVG)を塗布したケースです。
虫刺され後、早期に塗布すれば腫れは問題なく消えていきます。
むず痒さについては若干残る、とのことでした。

③ お灸による対応


たまたま偶然にほぼ同じ肘のところを蚊が吸ってくれたので、今度はお灸を試してみました。
台座灸のハード(一番熱くなるタイプ)を7壮据えましたが、最後まで熱さを感じなかったそうです。
灸の直後からかゆみはほぼゼロ。右側の写真は施術後数時間の写真です。
赤みは多少見えるものの腫れは無しです。

蚊が動物の血を吸うときに、相手に痛みを感じさせない、血液を凝固させないために複数の蛋白質を含んだ唾液を注入し、その蛋白質によって腫れたり、痒みがもたらされるといわれています。
そのため、お灸で熱を加えると唾液成分の蛋白質が変性するので、腫れや痒みが抑制されていると考えられます。
以下のサイトで詳しく述べられていますので、興味がある方はご覧になってみてください。

「蚊やマウスの唾液の鎮痛効果のメカニズムの発見」


さて、以上のように見てきますと治療成績はどの手段でもほぼ同等と言えそうです。
簡便性ではリンデロンに分がありそうですが、ステロイド軟膏を入手するには医師の処方が必要です。
刺絡は一般の人が行うには難しいので、一般家庭でも安全に行える台座灸がおススメの対応策と言えそうです。

それでは、今年も暑い夏になりそうですが、虫刺されに負けず、乗り切って参りましょう!
(写真は、院長が蚊に血を三度も吸われた現場です。)